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なぜバイクをカスタムするのか、しない選択肢も考えてみる

バイクという乗り物には、他の趣味や移動手段にない独特の魅力があります。風を切り、エンジンの鼓動を肌で感じ、四季を感じながら走ることができるのはバイクならではの体験です。多くのライダーがこの体験をより「自分らしく」するためにバイクをカスタムすることが一般的になっています。しかし、あえて「カスタムしない」という選択肢も、バイクとの向き合い方として見逃せません。ここでは、なぜカスタムが盛んなのかを探りながら、カスタムしない楽しみ方についても考えていきましょう。

バイクのカスタムとは

そもそもバイクの「カスタム」とは何でしょうか。バイクのカスタムは、元のデザインやパフォーマンスを自分好みに変更することを指します。パーツを変えたり、カラーリングを変えたりすることで自分だけのオリジナルなバイクに仕上げることができ、これが多くのライダーにとってカスタムの醍醐味となっています。たとえば、マフラーを替えて排気音を強調したり、シートやハンドルを変更して快適性を向上させたりと、見た目だけでなく実用性にも手を加えられるのが魅力です。

バイクは「趣味性の高い乗り物」と言われることもあり、その個性を追求する中でカスタム文化が育まれてきました。特に日本やアメリカ、ヨーロッパのバイクシーンでは、カスタムがバイクライフの一部とされています。ライダー同士が集う場ではカスタムしたバイクが並び、それぞれのこだわりや工夫が披露されるのも、バイク文化のひとつです。

カスタムの目的と心理

では、多くのライダーがカスタムに興味を持つ理由は何でしょうか?以下の3つが主な要因として挙げられます。

  1. 見た目の個性を求める
    • カスタムによって、自分だけのバイクを作り上げることができるためです。もともと市販されているバイクは大量生産品であり、同じ車種であれば多くのライダーが同じデザインのバイクに乗っています。そこでカスタムを行うことで、他のバイクとは異なる見た目を追求することができます。
  2. 快適性や性能の向上
    • 自分の体格や好みに合わせてカスタムすることで、より乗りやすく、快適にバイクを操ることができます。たとえばシートを変更して長距離ツーリングを快適にしたり、ハンドル位置を調整して姿勢を安定させたりすることが可能です。また、マフラーの交換によってエンジン性能を向上させることも多くのライダーにとって魅力的です。
  3. 仲間意識と交流
    • カスタムしたバイクを通じて仲間と交流する楽しさも、カスタムの大きなモチベーションのひとつです。カスタムは単なる自己満足ではなく、同じ趣味を持つ仲間たちと共通の話題を持つための手段でもあります。カスタムバイクを見せ合い、褒め合うことで、ライダー同士のつながりを深めることができます。

カスタムしない魅力

バイクのカスタムにはメリットも多くありますが、あえて「カスタムしない」という選択肢にも価値があります。バイク本来の状態を楽しむことも、カスタムとは異なる独特の楽しみ方です。

  1. バイクの「完成形」を味わう
    • 市販されているバイクは、メーカーのデザイナーやエンジニアが長い時間をかけて開発し、設計された「完成形」です。各パーツが最適に配置され、耐久性や快適性も考慮されています。カスタムをせず、メーカーが作り上げたままの状態で乗ることで、本来の設計意図や性能を体感することができます。
  2. メンテナンスが容易である
    • カスタムを加えないことで、バイクのメンテナンスがシンプルになります。特にエンジンや電装系のカスタムは手間がかかり、時にはトラブルの原因になることもありますが、ノーマルのままなら、修理や点検がスムーズに行えます。長期的に見れば、メンテナンスやパーツ交換が容易であることは大きなメリットです。
  3. リセールバリューの維持
    • カスタムしたバイクは自分好みではあるものの、他の人が同じように価値を感じるとは限りません。そのため、カスタムバイクは中古市場ではあまり高値がつかないことが多いです。一方、カスタムをしていないノーマルなバイクは、比較的高いリセールバリューを維持しやすく、手放す際の価格も安定しやすい傾向があります。
  4. 費用の節約
    • カスタムには多くの費用がかかります。パーツ代だけでなく、取り付けの工賃や調整にかかる費用なども考慮すると、カスタムをすることで予算が膨らみがちです。カスタムをしないことで、その分の費用を他の趣味やツーリングに充てることができ、コストパフォーマンスの良い楽しみ方が可能です。

ノーマルバイクで楽しむツーリングや交流

ノーマルバイクであっても、楽しみ方は無限にあります。たとえば、ツーリング先で出会うライダーたちと、バイクについて話すこともそのひとつです。「ノーマルでここまで走ってきた」と話すことで、カスタムしているライダーとは異なる一体感が生まれることもあります。また、ノーマルのバイクは故障が少ないため、ロングツーリングにも安心して臨むことができます。

さらに、ノーマルの状態でバイクに乗ると、そのバイクの特徴や癖をしっかりと感じることができ、長く乗ることで次第に愛着も増してきます。愛車の小さな特徴に気づくことができるのも、カスタムしない楽しさといえるでしょう。

カスタムしない選択肢を尊重するライダー仲間

バイクを「自分色に染めたい」と考えるのは多くのライダーが抱く想いです。しかし、近年ではノーマルの良さを尊重するライダーも増えています。たとえば、ノーマルで維持することを誇りに思い、あえてカスタムをしないことを選択するライダーも少なくありません。ノーマル状態の美しさや、そのバイクが持つ本来のデザインを大切にすることが、ひとつのスタイルとして定着しつつあります。

このように、「カスタムしない」という選択肢も、個性の表現方法のひとつです。ライダー同士が互いのスタイルを尊重し合うことで、さらに豊かなバイクライフが広がります。

カスタムに対する新しい価値観

カスタムは決して悪いことではなく、自分らしさを表現する素晴らしい方法です。しかし、カスタムしないという選択肢もまた、バイクの楽しみ方として広がりつつあります。バイクを購入したままの状態で愛用することも、ライダーとしての個性を表現するひとつの方法です。ノーマルを維持することで、バイクの本来の性能や設計に敬意を払いながら楽しむライフスタイルを選ぶことも、今後さらに注目されるでしょう。

バイクは人それぞれが自分に合った楽しみ方を見つけられる、自由な乗り物です。カスタムを楽しむも良し、ノーマルのまま大切に乗るも良し。それぞれのライフスタイルに合わせたバイクとの向き合い方があってこそ、バイクライフは充実していくのです。