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バイクのフレームについて

バイクの設計や性能を語るうえで、フレームは欠かせない要素です。エンジンやトランスミッションなど、重要なパーツを支える「骨格」としての役割を担い、乗り心地や操縦性、安全性に直結する構造でもあります。本記事では、バイクフレームの基礎知識を押さえながら、各種類の特徴や用途を詳しく解説します。

フレームとは何か?

フレームとは、バイクの土台ともいえる部分です。主な役割は、エンジンや車輪などの主要部品を支えることと、走行時の安定性や耐久性を確保することにあります。このため、フレームには「強度」と「剛性」という二つの要素が求められます。

  • 強度:フレームそのものが壊れないようにする力。特に重量や衝撃を受けた際の耐久性を意味します。
  • 剛性:車体が歪まないよう支える力。高速走行時やカーブでの安定性を左右します。

この二つの要素に加え、軽量化や生産性、さらにはデザイン性も考慮されるため、フレーム設計はバイク開発の中でも重要なプロセスです。

フレームの種類と特徴

クレードルフレーム

クレードルフレームは、エンジンを上下から囲むように設計された構造で、バイクフレームの中でも最も基本的な形状です。「ゆりかご」という意味の名前が示す通り、エンジンをしっかりと支える役割があります。

  • メリット:設計がシンプルで軽量化が可能。
  • デメリット:剛性が低いため、現代のバイクではあまり採用されていません。

古いモデルに多く見られるこのフレームは、他のフレームデザインの基礎となる存在でもあります。

ダブルクレードルフレーム

クレードルフレームの強化版ともいえるダブルクレードルフレームは、エンジンを上下左右から囲む形状です。剛性が高まる設計で、ネイキッドバイクやツーリングモデルに多く採用されています。

  • メリット:補強が容易で、しっかりとした安定性が得られる。
  • デメリット:重量が増加し、エンジンの着脱やメンテナンス性がやや低い。

CB400SFやXJR1300など、多くのモデルで使われているため、バイク初心者にも馴染みのある形状です。

セミダブルクレードルフレーム

軽量化と剛性のバランスを追求したセミダブルクレードルフレーム。エンジンの下部構造を簡略化しつつ、剛性の確保にも配慮した設計です。

  • メリット:軽量化が可能で、取り回しが良い。
  • デメリット:ダブルクレードルほどの剛性は期待できないため、高速走行時には不向き。

アドベンチャーバイクやオフロードモデルで採用されることが多く、CRF1000L Africa Twinなどで見ることができます。

ダイヤモンドフレーム

ダイヤモンドフレームは、エンジン自体を構造の一部として利用する設計です。エンジンが剛性を担うことで、フレームそのものの重量を削減し、全体の軽量化を実現しています。

  • メリット:軽量で設計の自由度が高く、整備が容易。
  • デメリット:エンジンに高い強度が求められるため、製造コストが増加する場合がある。

スポーツバイクや小排気量モデルで採用されることが多く、YZF-R25やGSX-R125などに用いられています。

アンダーボーンフレーム

アンダーボーンフレームは、スクーターや小型バイクに多い形状で、エンジンを下部で支える構造が特徴です。足元にフレームがなく、積載性に優れています。

  • メリット:足元スペースが広く、荷物を積む用途に適している。
  • デメリット:剛性が低く、高速走行には不向き。

ビーノやPCXなど、日常使いに最適なモデルに多く採用されています。

ツインスパーフレーム

ツインスパーフレームは、エンジンを挟み込むように設計された、剛性調整がしやすいフレームです。主に高性能スポーツバイクで採用されています。

  • メリット:剛性の最適化が容易で、高速走行やスポーツ走行に向いている。
  • デメリット:製造コストが高く、横幅が広がるデメリットがある。

CBR1000RRやNinja ZX-10Rなど、サーキットや高速道路での性能を重視するモデルに使用されています。

トラスフレーム

トラスフレームは、複数のパイプを組み合わせて強度と剛性を確保するデザインです。橋梁や建築物に使われるトラス構造を応用しています。

  • メリット:軽量で自由な設計が可能。
  • デメリット:製造に手間がかかり、大量生産には不向き。

デュカティなどのイタリア製バイクでよく見られる、デザイン性も特徴的なフレームです。

フレーム選びのポイント

バイクを選ぶ際、フレームの特性を理解しておくことは非常に重要です。以下の点に注目すると、自分に合ったモデルを見つけやすくなります。

  1. 用途を明確にする

    日常の通勤用なのか、ツーリングやスポーツ走行が目的なのかで適切なフレームが変わります。

  2. 重視する性能を考える

    剛性、軽量性、デザインなど、自分が最も求める要素を優先することで選びやすくなります。

  3. 実際に試乗する

    スペックだけでは分からないフレームの感触を確かめるために、試乗は欠かせません。

まとめ

バイクのフレームは、その形状や構造によって特徴が大きく異なり、乗り心地や使い勝手に直接影響を与えます。各フレームの特性を理解し、自分のライフスタイルや用途に合ったフレームを選ぶことで、快適で安全なライディングが可能になるでしょう。

バイク選びの際は、ぜひフレームに注目し、最適な一台を見つけてみてください。